「大人の方で、こんなに一気に上手くなることあるんだ」と、正直驚かせてもらった今回のレッスン。
〇〇(女性・大人)さんは、お仕事やめてからフルート始められたので、割合遅いスタートの方。
ある程度お歳を召した女性の障壁になりがちなのは、やはり肺活量。(個人差あり)
限られた資源(息)を使って、フルートのような開放的な機構の楽器の音を鳴らし続けるには、少し工夫が必要で、
アパチュア(口の形で作る、息が通る穴)を音の鳴るポイントに常にフォーカスした形にする必要があります。
つまり、少ない息では、常に効率的な方法を取らざるをえない…
ちなみに、「それって難しそう」と思われるかもしれませんが、
息苦しい(息が足りない)!という感覚は本人が一番痛感しているので、生徒さんが勝手に効率の良いポイントを見つけてくれる場合が多いです。笑
でもそうすると、終始 か細い音になってしまうので…
レッスンでは「この(元気なor壮大な)場面では(そのままだと音が細すぎるので、)いつもとは違う分厚い音を出してみませんか」のようなアドバイスをして、
その都度、呼吸法をおさらいしたり、唇や頭部管のポジションの可動域を探ったりします。
当然ながら、
効率が良い音の出し方ができる ≠ 良い音が鳴る、音楽に即した表現ができる
なのです。
曲によっては「もっと〜!」っていう類の注文ばかりになっちゃう。
オリジナルエクササイズをやってもらったり、次に出す課題を工夫したりなどで、これまでも少しずつですが、良くなってきましたが…
今回「私のお父さん」を持ってきて下さって、うわ!出だしの音から見違えるように違う!良い!(興奮)って感じだったので、
「今までと全然違う、しっかりした音が出てますね!何を変えたんですか?」
と聞くと、
「先生の音を聴いたり、練習するうちに、強い音を出した方が良いと思うようになり、そうにしてます」
とのこと。
「なるほど、〇〇さんって普段とっても優しい声で喋りますよね。常々、吹き方は喋り方に似ると思うのですが、〇〇さんにとっての「強い」は、他の人にとっては全然強く感じないんじゃないでしょうか。」
と言うと、
「なるほどねえ」
と仰られてました。
例外もあると思います。
以前、高齢の女性でも、いつも遠くに届きそうな良い声で喋られる方のレッスンをしたことがありますが、フルートもやっぱり良い音でした。
逆に、お若い方でも、控えめな喋り方をされる方に、当該の傾向をよく見かけます。
自分の音が弱々しい、かすれる、といった悩みを持つ方は、参考にしてみると良いかもしれません。
それと、改めて実感したのは、生徒さんが格段に上手になる時は…
自分で何かに気付いた時、だということ!
レッスンで、
・お手本(例やアイデア)となる演奏を生音で聴くこと
・成長に合わせて必要な課題(曲)を出してもらうこと
・自分では気付かない弱点を指摘、矯正されること
…これら”良い材料を提供する”(レッスンする)のは先生の役目ですが、
最終的に”お料理する”(演奏する)のはご自身なんですよね。
例えば、一口に「強く」と言っても、大きい強さ、恐ろしい強さ、鋭利な強さ、揺るがない強さ、厚い強さ、あたたかい強さ、、、
(などの講師が言うワードが、生徒さんの感覚と一致するとも限らないのが、また難しいところですが)
日々いろんな材料や調味料を知って、蓄えて、
いつか使いこなせるようになるその時を、講師は待つのみ。
特に、大人の方の成長はゆるやかです。
お子さんに比べ、どうしても音に対する感度と身体の柔軟性(頭の柔軟性も!?)が減るからだと思います。(悲しいことに現実!)
大人ってそういうもんだよね、と講師も生徒自身も思っていると思いますが、
たった一つの閃きで、今回のように急激に変わることもあります。
ずーっと頑張ってきたことが形になる瞬間、師弟間で分かち合う喜びはひとしお!
今後も根気強く頑張りましょう〜
さて、長々綴ってしまいましたが、曲のことにも触れましょう…
「私のお父さん」、全体に良い音が鳴り始めたのはいいですが、
3,4小節目にかけてのフレーズ(オクターブの跳躍〜そのあとの延ばし)だけ、息がもたないようだったので、
そこはp(ピアノ)でいいんですよ、今までの音の出し方で問題ないです。と伝えました。
新たに得たしっかりした音を基本に据えて、今までの(一般的に男性が苦手な)細い音も活用できれば、1ランクも2ランクも上の、表情豊かな演奏になりますね。
ちなみに生徒さんお使いの楽譜はこちら。
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シンプルな作りで、ピアノ伴奏が無い分、非常に多くの曲数が収録されています。
初心者〜初級者が有名なメロディの抜粋を楽しむ、または独学するのにちょうどいいです。
下巻もあります。↓
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